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第一回 椅子張り作業の道具紹介  マグネットハンマー

2022/02/22

椅子・ソファの製作・張替えの種沢製作所の河西です。

今回は椅子張り作業を行う際の道具の紹介になります。
第一回目はマグネットハンマーです。
この道具は、私が知る限りでは椅子張り作業専用の道具です。
実は、今では登場回数は少なくなり、マグネットハンマーに代わってエアタッカーを使っています。
でも、所々で使いますのでマグネットハンマーの紹介をさせていただきます。

1の画像
マグネットハンマーの全体のすがた。
持ち手の柄の部分は個人個人で削って持ちやすくしています。

2の画像
ちょっとピンが甘くてすみません(;^_^A
ハンマーの先が割れています。
ここにマグネットを挟んで磁気を持たせます。

3の画像
今はタッカーという、ホチキスの大きい版を使って張地を留めますが、昔は釘を使っていました。
釘は二種類あり、三分と五分。
長さと太さが違います。
職人はこれを使い分けます。
ちなみに、タッカーの針もいろいろあり、JやFと厚みが違い、あと長さもいろいろあります。
タッカーのお話は、タッカーの紹介時に行いますね。

4の画像
マグネットハンマーの磁気を帯びている側に、釘の頭を付けます。
この作業ですが、実は口に含んだ釘を唇と舌で釘の頭だけ出して、マグネットハンマーの先に付けます。
こうすることで、釘を拾って取り付ける手間が省けます。
この仕組み、椅子張り屋さんならではです。
両手で生地の引き塩梅を決めて、片手で生地を押さえ、片手でマグネットハンマーを持つ。
すると、釘が取れないですよね。
そこでマグネットが活躍します。
手が足りないので、先に口に含んでいた釘を唇に頭だけ出して、マグネットハンマーでキャッチ!
これで、生地を押さえる、釘を出す、ハンマーを持つ、この三つの作業が同時にできます。
先人の知恵はすごいですね。
今回はコロナ渦と言こともあり、またおっさんの唇アップ画像は耐え難いので、釘を口から出す画像は割愛しました。

5の画像
私が口に含む量はこんな感じですね。
これは個人差があります。
最初のころは、大きな五分釘は飲み込んだら大変と思いながらドキドキして口に含んでいました。

6の画像
私が握るとこんな感じ。
割と手の平の中で動かす感じです。
あと、手首のスナップを使いますね。
あまり、肘から降る感じではないです。

7の画像
釘とタッカーの違いです。
左から三分釘、五分釘、タッカーの針(J)です。


今でも釘を使いますが、他にもピットという材料も生地の上から叩く時のも使います。
頭の大きい方も小さい方も、また、側面の平らなところも使います。

ベテラン職人にも聞いてみました。
40~50年前はタッカーは存在していたが、マグネットハンマーを使う仕事が多かったそうです。
単バネを使う仕事や藁土手を作る仕事が、まだまだ多かったからのようです。
今はウエビングテープやSバネに代わってきていますし、椅子の形状はウレタンを使っていきます。
だんだん、マグネットハンマーを使う機会が減ってきたと教えてくれました。


いかがでしたでしょうか。
マグネットハンマーのこと少し伝わりましたでしょうか。
また、道具紹介を行います。

ご覧いただきありがとうございます。

河西

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